大阪府 ポンポン山の熊
10月27日金曜 晴れ
8:00
天気予報を見ると、どうやら土日は雨らしい。
でも今日は1日晴れで降水確率10%!
行くなら今日しかない!という事で、初のソロ登山へ行く事にした。
早速近場で一人でも行けそうな所をネットで検索。
高槻のポンポン山なら、679mの低山、初心者向けとあったので
一人で行けそうだと考え、早速30Lのザックに荷物を詰め込む。
ハンドタオル、ガス、椅子、ティッシュ、軍手、カッパと防寒具
ライターと煙草、携帯灰皿に携帯バッテリー等。
ん~かなりアバウト。
10月末なんで流石にちょっと寒いかもしれないと思い
長袖のヒートテックとフリースを着て、家を出たのは10:00頃。
阪急上新庄から阪急高槻へ(280円)
コンビニでおにぎり2つと水500ml2つを購入してザックに詰め込む。
バス停を調べると乗り場はJRの方なので、JR高槻へ移動してバスを探す。
移動中、暑くて喉が渇いたので自販機でさらに水500mlを購入した。
最初に着いた南出口の乗り場をぐるっと回って
原大橋・上の口行きを探したが見つからないので
検索してみると、北出口の方のバス停だった(笑)
JR高槻から市バスで上の口へ(220円)
上の口到着
11:40頃
終点の上の口を降りると、早速道が分からなかったので
とりあえず山の方へ向かえば良いだろうと、安直な考えで
6号線を(バスの進行方向)へ直進した。
田んぼや農家の雰囲気にのどかさを感じながら
15分ほど歩くと日差しが強く、汗が出る。
ヒートテックがべたついて気持ち悪い。長袖は失敗か。
橋に差し掛かったところで、かなり高齢のおばあさんが歩いていた。
こんな人気のない所は、追い抜くのも少し気が引ける。
怖がらせたりしないようにと、少し横に距離を置きつつ追い抜く。
しばらくすると歩道が無くなり、整備された車道しかなくなった為
ありゃりゃ、こっちじゃなかったのか…と携帯を出して地図を確認。
…どうもこっちの方向では無いらしい。
歩道も無いし無くなってるし、こりゃいかんという事で引き戻す。
自分的に良くある事。
帰りのバス、もう無理か…。まぁ何とかなる!と思いつつ
少し歩くと、さっきのおばあさんが椅子に座っていた。
視線をやると、会釈をされて、何やら言っていたので近寄ると
にっこりと笑って、丁寧な言葉遣いで「今何時でしょうか?
時間教えて頂けませんか?」と聞かれた。
このおばあさん、とても上品な方で、少し驚いた。
年とっても素敵な人は素敵なんやな~と思いいつつ
携帯をみると11:59分だったので、12時ですよと返答。
ついでにポンポン山を登りに来たが方向は
こっちで合ってるか尋ねてみると
やっぱり最初の方向は逆だったようで(笑)
ありがとうございますとお礼を言って先に進む。

登山口発見
12:17
登山口は原立石のバス停のすぐ横にあった。
ここからはコンクリート舗装された東京から大阪まで続く
東海自然歩道という道らしい。
wikiより~
東海自然歩道は、東京都八王子市高尾の「明治の森高尾国定公園」から大阪府箕面市箕面の「明治の森箕面国定公園」までの11都府県約90市町村にまたがる長さ1,697 kmの長距離自然歩道である
舗装されているが、坂が続き、鈍った体には結構きつかったが
2か月振りの自然の景色と匂いはテンションが上がる。
期待していた紅葉はまだ少し早い様子。
神峯山寺 到着
12:31 かぶさんじと読むらしい。
あまり時間が無いので、写真1枚とってスルー。
流石に金曜日、少し遅めの時間という事もあってか、殆ど人がいない。
この時点ですれ違いは4人、追い抜かれたのは2人位。
この時点で水500ml消費し、残り1L、思ったより消費ペースが早く
少し心配になる。
本山寺
13:42
ここを過ぎた頃から、コンクリート舗装が無くなり登山道になっていた。
相変わらず人がいない。しかもやたらと熊注意の張り紙が目に付く。
今年の8月29日に出たという情報も。
マジで?大阪で熊出るんかよ。。
どこが初心者向けの山やねん、勘弁してくれよと思いつつ
ひたすら無言で歩く。風も無いので静けさが余計に怖い!
もし出会ったらどうしよう・・なんて考えながら登っていたが
結構疲れてたので、こんな状態じゃ抵抗も出来んし
食われるだけかなぁなんて思ったり。
頭の中では、都会の山なので注意喚起・整備がしっかりしてる
だけで、まぁ実際に出る事は無い!と言い聞かせてたけど
一度不安を抱えると心拍数は上がったまま(笑)
ニュースに載るのは勘弁願いたい。。
とりあえず、音を出しながら歩く位はしといたほうがいいなと、
ペットボトルを手に持って、歩くタイミングと同時に
クシャクシャと音を立てて歩いた。
初めての1人登山。会話する相手もいない上に
登山客は少ないし熊が出る山やったとは!(;´∀`)
休憩を取りたかったけど、腰をおろして悠長に
休憩するほど度胸は無かった。
熊注意の表示を見てからは、景色を楽しむ余裕なんて全く無し。
ここまでもすれ違った登山客は2~3人と
10人位のお年寄り団体(大声で会話&ラジオと鈴がうるさかった)
位だったが、人の気配を感じたり足音が聴こえる瞬間だけは
安心感が生まれた。
途中、ランナーが後ろから走って来た時に
やたらデカいスズメバチが近くに寄って来たので
おぉ!!っと声を上げてしまった。
しかも若干追っかけられたので、速足でやり過ごす。
スズメバチまでおるんかーい!(; ・`д・´)
ポンポン山 頂上
14:50
頂上に着く。本山寺からここまで休憩無し。
恐怖が体を突き動かすらしい(笑)
頂上に着いた達成感や高揚は無く、寧ろ
熊が出るという山に1人で来てしまった自分に腹が立っていた('A`)
ベンチが空いていたのでザックを降ろして座る。
辺りを見ると食器を片付けて今から下山しようとする2人組と
食事中のランナーの計3人。
風景を何枚か写真に撮ってから再度ベンチに戻り
コンビニで買ったおにぎりを食べる。
山の食事は美味しいはずなのに…(´・ω・`)
雲がほとんどなくて天気は良いのに、ぼやけて視界が悪く
全くテンションが上がらない。
そそくさと食事を済ませ、下山する事にした。
携帯はバッテリーが何故か8%になっていたので
充電器に接続し、ザックに入れておいた。
ここで水の残りは450ml位。
この時点で時間は15時を過ぎているので、バスは間に合わず。
※最終が15時過ぎ
まぁ最悪市街地か駅まで歩くかな、と15時丁度に杉谷方面へ下山開始。
滞在時間はわずか10分(笑)
「行きはよいよい 帰りはこわい」とか勘弁してや~と思いながら…
森のくまさん
15:10
歩くタイミングに合わせてペットボトルをくしゃくしゃと
音を立てながら歩く。
早く帰りたい&下り坂なのでペースが早い。
しばらく歩いていると、前方でガサガサっと草木がすれる物音がした。
おお人がおる、よかった~!と思って安心したのと
変な奴と思われたら少し恥ずかしいなーと思って
ペットボトルを鳴らすのを止めた。

ところが数メートル程進んだところで、ふとそのガサガサ音が消えた。
ん?待てよ、なんでガサガサ鳴るん?しかも人が歩いてる
タイミングと違う?
人は登山道から外れる事は無いし、草むらに何かおる??
と思って立ち止まって前方の様子を伺う。
あれ?っと思ってペットボトルをクシャっと鳴らした次の瞬間!
登山道を挟んだ前方右側の草むらからドスッドスッという
音を立てて右側に向かって黒い大きな物体が飛び出してきた。

え??と思った直後
今度は左側が慌ただしくガサガサッ!と音が鳴り、一瞬視線をやると
草木が激しく揺れているものの、姿を確認できない。
左側は2か所で音がしていた。※少し丘になっている
両サイドとも自分より10m~15m位先。
右側に飛び出してきたのは、真っ黒で1m位の熊。
音に反応して逃げようとして飛び出したが、すぐに立ち止まり
反対側(左側)を振り返っている。
熊!!
目に飛び込んできた物体を、熊と認識した瞬間に、血の気が引く。
真っ黒な体に大きな手足・・・見るからに危険な獣(;´∀`)
左のポケットにデジカメを入れてたので、ポケットに
手を入れたものの、取り出せなかった。
とにかく、音に反応するならと、ペットボトルを鳴らしてみると
身体を反転させ、下る方向へ少し遠ざかってくれるが、反対側を気にして
すぐに立ち止まって振り返るばかり。
※こちらにはあまり興味を示さなかった。
2~3回繰り返すと左側の音は消えてしまった。
自分がいる登山道を挟んで、両サイドで熊のサンドイッチ状態は
理解したが、左側の音の正体の位置が掴めない。
左右のどちらに視線を置くべきかも分からない。
遠く逃げたのか、様子見してるのか、襲う準備をしているのか。
1匹なのか2匹なのか。見えないけど、そこに何かが居るという事に
行動が制限されてしまった。
指はペットボトルをくしゃくしゃ鳴らし続けてるけど、足が進まない…
進む?戻る?進んだら両サイドに挟まれて襲われないか?
でも戻ったら真っ暗になって確実に家に帰れない。
が、ちんたら迷っている時間も無い。
その場に立ち止まるのはリスクが高すぎるし
なんとかこの状況から抜け出すべく
音に反応するという事なら…と恐る恐る口笛をフェードイン風に
吹いてみると、右側の熊がさらに反応して、自分と距離を取ってくれた。
今しか無い!と左側を無視して口笛を吹きながら進む事にした。
確か、背中見せたら襲われるんよな…
追ってきたらどうしよう…なんて考えながら
メロディになっていない口笛とペットボトルの音を出しまくり
速足でその場を抜ける。
しかし、道は右側にカーブになっていたので
熊が逃げた方向に近寄る事になる('A`)
こりゃたまらん…と思うも、進む以外に選択肢が無い。
焦りながら無我夢中で進む。。
少し進んだところで、振り返って耳を澄ましてみたが
追って来ている気配は無かった。
た、、助かった。。
とりあえず一安心したけど、もう出ないという保証があるわけじゃない。
下山中にまた出会う可能性がある。
悪い事って重なるもんやし(;´∀`)
そこからはもう早く安全な場所へ。。と願って移動するしかなかった。
15:20頃
震えた口笛吹きながらペットボトル鳴らして降りていると
前方から親子(男女)と思われる2人組が見えた。
今からか。。と思ったが、人に会うのは安心感が湧く。
が、彼らの進行方向はまさに熊と出会った方向。
小走りで近寄って
すぐ先で熊が出ましたよ!と出会った時の状況を伝えると
当然の反応か、女性が怯えてしまった。
冗談や驚かすつもりは無かったが、危険があるので
やめておいた方が良いんじゃないでしょうかと伝える。
もし登るなら、何か音を立てながら行った方が良いですと言うと
貴重な情報ありがとうございますと言っていたが
男性はあともう少しで頂上なんでと言って
結局行ってしまった。
もしかしたら、嘘つきか頭のおかしい奴とでも思われたかも知れない(笑)
見ず知らずの人間が急に危険を伝えてもほんまか?ってなるわな~。
目撃者1人だけやし。
写真や動画でもあれば、また違ったのかも知れんけど
写真撮ってる余裕は自分には無かった(;´∀`)
※結局頂上で撮った写真が最後の写真になってしまった(笑)
無事だと良いのですが。
下山
15:40
親子と別れて少し進むと登山道を抜けて民家?がある広い場所に出た。
携帯を出して、ポンポン山、熊で検索すると市のHPで
目撃情報が載っていた。
その時丁度民家の方?が歩いていたので、熊を見たと伝えると
ここでもまた怯えた様子で、イノシシじゃなくて?怖い!と言っていた。
あれだけ熊注意の表示があるし、地元の人なら対処に
慣れてると思ったがそうでもないみたい。
市に連絡しといて下さいと言っていたので
先を進み、下りながら市へ連絡、状況と熊の大きさや
逃げた方向、連絡先と名前を伝えた。
16:00
善峯寺バス停
色々あって疲れた。徒歩で市街地まで出ようとしていたが
疲れすぎて足がつらいのでバス停にあった看板に載っている
タクシーを呼ぶ事に。
が、電話は掛かるけど一向に繋がらない。。
仕方ない、歩くかと市街地へ向け歩き出す。
どうやら次の小塩というバス停まで徒歩約50分 3kmとの事。
小塩
一本道をひたすら進む。と向かいから賃送中のタクシーが!
この先を行くなら、おそらく善峯寺か。帰りに拾えるかも!と思い
暗くなり始めた道をとぼとぼ進む。
小塩バス停
着いた~と思って時刻表をみると、ここも15時台で終わってた。
そりゃそうやろな~とがっくりして、グーグルマップで
向日町方向を確認してさらに進む。
しばらくするとタクシーが戻って来たのでそれを拾って
長岡天神まで乗車。ラッキー!
そして無事に阪急の駅に到着し、帰宅した。
後で
あとで調べたら、この周辺に生息しているのはツキノワグマらしい。
秋は冬眠前に餌を食いだめしているので割と活発だそうだ。
8月末にも頂上付近で見たという情報があったらしい。
熊は基本は単独行動らしいが、子育て中は
母子で行動するらしいので、今回のはおそらく子持ちの雌だと思う。
やたらと気にしてたしね。
一歩間違えて、近寄り過ぎてたら母熊が怒って
襲われてたかも知れないと思うとラッキーだった。。
音にはかなり敏感に反応していたので
熊が出る山は必ず鈴やラジオを持って行くようにしましょう。
あの様子だと、音さえ出しとけば早い段階で逃げてくれると思うので。
今回の反省は、事前にちゃんと調べてから行きなさいという事かな。
しかしソロ登山は思ったより楽しくないしリスクが高い(;´∀`)